2011年10月31日月曜日

ある企業の人材育成の現場での素朴な疑問


はじめまして、TDMCの友人の一人の早川といいます。企業の人材育成に9年ほど関わり、その間に、インストラクショナルデザインを学ぶ機会を得て、今も熊本大学の教授システム学で学び続けています。そんな私が、以前に抱いた素朴な疑問について記載しました。



お題:ある企業の人材育成の現場での素朴な疑問

私が企業の教育現場に異動になったのは、20027月であった。社内プロジェクトを一方に抱え、営業部員(製薬企業の営業で、MRと呼ばれる)への知識や営業スキルの教育研修を担うことになった。

最初に驚いたのは、新入社員教育の現場を見たときであった。インストラクターは、PPTを用いて、一所懸命講義をしていた。後ろで見ていた私は、違和感を覚えた。新入社員の2/3は、板書されたものをノートに書きとっていた。残りの1/3は、ボーとしているか、内職をしているか、眠そうにしていた。これは、このインストラクターであるからなのだろうと思い、別の日に別のインストラクターの講義を見学した。そこでは、唖然! 緑色の黒板?に向かって、一所懸命講義をしていた。

教室から戻る、インストラクターは満足感一杯で机に戻る。彼に、今日の講義はどうだったのと聞くと、「まだ、何人かは眠そうにしています。気合が足りないんですよ。」と言い放った。私は心の中で、「そうかな?あなたの講義が面白くないのでしょう?」とつぶやく。

そんなやり取りがあって、少しの時間がたったある日に、教室から戻ったインストラクターが怒っていた。その理由は、「ある新入社員が、今日出題されたテスト問題は、まだ講義を聞いていないところが出題されたと抗議をしてきた。」という。私は心の中で、「そうだろうな、講義をしているのだから、そういわれても当然だよな。でも、そんなMRを現場では求めていないと思うけどな?」と。インストラクターは続けて、「講義を聞いていないところが出されて文句を言われる筋合いはない。彼らは研修終了後に現場に出て、MRとして活動する。MRが教えてもらっていないからできないとは言っていられない。彼らは、自身で考え、自身で調べて、顧客とのやり取りをしていくのが仕事だ。」というのであった。私は、心の中でつぶやいた。「えっ!あなたも現場がどんなMRを求めているかは、分かっているのか!」「でも、あなたは、新入社員が自分で考えて行動するような講義をしていないじゃないか!」と。インストラクターが望む新入社員像と、彼らが行っている新入社員研修には一貫性がないと思えた瞬間であった。そして、少しだけ安心した。なぜなら、インストラクター自身が現場のMRに求めることを理解していないわけではないことが分かったからであった。

そもそも、講義をしても、聞いていない人は聞いていないし、聞いている人も学習していると思えないなという疑問が沸々と湧いてきた。相当前に、私がMRであった頃に研修に参加した時に、今日の学習すべき内容が提示され、勝手に読んで、分かればそれで終わりであった。分からないところがあればそこだけ質問して疑問を解決すれば、本日の学習を終了していた。残った時間は内職をしていたなという記憶がよみがえった。講義される声が耳障りでなければ許せるが、耳障りな場合は内職すらできない苦痛な時間であったことを思い出してしまったのである(目に浮かぶ!!)。

あの頃と、今と何も変わっていないのだと思うと、今の新入社員も可哀そうだなと思えたし、何より、彼らの学習のためにはなっていないと思えた。また、現場が望む新入社員に育成するような方法に変えようと考えた。そこで、新入社員の研修では、一切講義しないという結論を導き実行してしまった。

この続きは、またどこかでお話しする機会があるかもしれません。


2011年10月17日月曜日

熊本大学 公開講座のお知らせ

講座名 教育デザイン・ワークショップ~インストラクショナルデザイン(ID)入門編~

日時
2011 年11 月26 日(土) 9:30~16:30 (懇親会17:00~19:00)

内容
本講座では、これまで自身が実施してきた教育に対する考え方や実施法について見つめ直し、何が課題であるかについて考えるところからスタートします。教育をより効果的・効率的・魅力的にするための方法論であるインストラクショナルデザイン(以下、ID)の中から、学習者を動機づけるための手法や、学習者の学びを支援するための働きかけに関する理論を事例とともに学び、課題の解決策の糸口をつかみます。ワークショップにおいては、課題の解決策、教育デザインの改善案を検討し、専門家たちとのディスカッションの中から実践的なID の活用法を学びます。

講師
鈴木克明(熊本大学大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻 教授)
根本淳子(熊本大学大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻 助教)
森田晃子(TDM コンサルティング株式会社 代表取締役)
片野俊行(TDM コンサルティング株式会社 取締役)
都竹茂樹(熊本大学政策創造研究教育センター 教授)


詳細は熊本大学のサイトをご覧ください

2011年10月11日火曜日

LMSにお悩みなら

TDMCのお二人と熊本大学大学院教授システム学専攻同期生だった
市橋です。

TDMCのブログに「飛び入り参加」させていただきます。

普段,私は大学の教職員の方々や学生さんのサポートをしているSEです。

SEの仕事は、「ユーザの問題解決をICTを使って解決する」というのが
よくある話で、職業柄、大学教育でICTをどう活かすか?
なんていうのをよく考えていたりします。


LMS(LearningManagementSystem)は、最近大学でよく利用されて
いるWEBシステムかと思います。


LMSを導入したいんだけど?
といわれれば・・・

SEとしては
「じゃぁMoodleでまずは導入してみましょう。オープンソースだし・・・」
と大概なります。

さらに
LMSを効果的に利用するにはどうしたら良い?
と言われたら!?

これに答えたいSEさんに
ちょっとハードルが高いかもしれませんが、以下のサイトをおすすめします。
このサイトで,すべてが解決するわけではありませんが・・・

eラーニングファンダメンタル

今の大学では、SEが答える問題ではないかもしれませんが
答えられるに越したことはないでしょう。

そして

こんな要求に答えを求められる技術者になりたいもですね。