TDMC代表の森田晃子です。昨日、“社会人が育つ・成長するというのは、やっぱりこういうことなんだ”と実感した出来事があったので、ここに記したいと思います。
昨日は、あるプロジェクトが終了したため、主要なプロジェクトメンバーが集い、反省会が行われました。プロジェクトの内容は教科書の出版で、4冊同時刊行というものでした。出版社の方、監修者、編者、執筆者など、総勢100名近くの関係者が関わった2年以上に及ぶビックプロジェクトで、私は内容の専門家およびインストラクショナルデザイナー※1の立場としてプロジェクトに参加させていただいておりました。
当然ながら紆余曲折がありましたが、その分、教科書が完成したときの喜びは言葉では言い表せないものがあり、関わった私たちにとっては本当に子供のようなものです。
その反省会の中で出版社の編集者Sさんが、今回の仕事を通じての感想を以下のように話されました。
『私は、このプロジェクトがスタートした時は、編集者になって2年目の新人でした。このプロジェクト以外の仕事としては、1~3人の執筆者と編集者(自分)だけという少人数で1冊の本を仕上げるというものがほとんどです。今回のように、社外、社内の多くの方々と上手く連携を取りながら編集の仕事をするというのは初めての経験の連続で、ベテランの先輩達のように上手く立ちまわれなかったことも多々あったかと思います。ただ、その分、この仕事を通じて、自分としては一回りも二回りも成長したと思っております(と言うと、先輩達に“そうか~”と突っ込まれそうですが(笑))。このようなお仕事に関わらせていただいたことに感謝しております。今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。』
録音していたわけではないので言葉通りではないかもしれませんが、およそこのような感想でした。活字ではSさんの想いが上手く伝わらないかもしれませんが、私はこの話を聞いていて、素直で正直な気持ちが伝わり、また、この2年間一生懸命に編集者としての仕事を進められていた姿を思い出して、すごく感動しました。
今の若者は、“ゆとり教育世代”で社会に出る前に基本的なことも身に付いていないとか、ちゃんと仕事に向き合っていないとか、言われた仕事だけこなすとか、なんだかかわいそうな位の言われようですが、今回のように、責任ある仕事を任され、厳しくも温かい指導をしてくれる先輩方に囲まれた中で仕事をしていけば、ちゃんと成長するということなんですよね。
私達は仕事上、フォーマルラーニング(集合研修やeラーニング)を企画・運営するためのコンサルティングをお受けすることが多いのですが、やはりこうした“仕事を通じての学び・人との関わりの中での学び(ワークプレイスラーニング/働く現場における学習)”に重きを置いた人材開発も考えなければいけないなということを実感した1日でした。
※1インストラクショナルデザイナーとは(Wikipediaより)
インストラクショナルデザインの理論・モデルを駆使して、学習環境の分析・評価・設計・開発などを行う専門職をインストラクショナル・デザイナー(IDer)と呼ぶ。軍において新兵の練度を短期間で高めるための効率的な教育技法として、インストラクショナルデザインが発達してきた経緯から、アメリカでは専門職としての地位が確立されており、大学の教育系学部や大学院の教育工学系専攻でインストラクショナルデザインを学ぶことができ、IDerの資格認定制度も存在する。
日本においては長らく養成機関がなかったが、熊本大学では、フロリダ州立大学でインストラクショナルデザインを研究した鈴木克明が中心となって、大学院社会文化科学研究科の中に教授システム学専攻(http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/)を設置し、インストラクショナルデザインの理論・モデルをeラーニングの設計・開発に応用する専門職養成課程を設置している。また、青山学院大学においてもeラーニング人材育成研究センター(eLPCO)を設置し、同様の専門職養成課程を設置している。但し、インストラクショナルデザイン分野の専門性を学位認定しているのは熊本大学が唯一である(博士前期課程修了で「修士(教授システム学)」を授与)
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